ひさかたチャイルドHPより表紙画像を引用しました。
おばけのひやめしや
作•絵 ささきみお
発行 2010年6月
出版 ひさかたチャイルド
ページ数 40P
おすすめの年代 4歳〜小学校低学年
あらすじ
北風が吹く日のこと。さびれた町の裏道に、「めしやかいてん」の立看板が立っています。
でも、「めしや」の前に「ひや」の文字。最後に「しっかりひえてます。ずいぶんじかんたってます。」と書かれています。
一人のお客が入ってきます。お品書きを見て、月見そばを頼むと、顔色の悪いお店のご主人が運んできます。食べてみると、冷たい!お客は親子丼に変えてもらうよう頼みます。出てきた親子丼がまた冷たい。改めてカレーを頼むと、これも冷たい。
温かいものがないか店のご主人に聞くと、このお店は専ら冷飯だと言います。お店の料理が全て冷え切っていると知り、お客は逃げ出してしまいます。
冷飯ばかり出てくるので、お客はみんな驚いて帰っていきます。冷飯屋のご主人はそれが嬉しくてたまりません。
しばらくたったある日、一人のお客がやってきます。ところがこのお客は冷飯に大喜び。次に来たお客も冷飯を喜んでいます。驚かないお客を見て面白くないご主人は、実は自分はオバケだと正体を明かします。ところが、お客は夏の暑さが吹っ飛んだともっと喜んでしまいます。
いつの間にか噂が広まり、「ひやめしや」はすっかり人気の行列店になりました。季節が夏になり、とびきり涼しくなれるのでみんなが喜ぶのです。どんどんやって来るお客に、ご主人はまいってしまいます。
ある日、お店の外に「しばらくおやすみいたします」の張り紙が。ご主人は涼しい田舎へ引っ越していきました。
おすすめポイント
寒い冬にひんやりメニューを出して、お客さんを驚かせる不思議なお店のお話です。店主はオバケですが、怖いオバケではなく、まんまる顔で愛嬌たっぷりです。お客さんが驚いている時の嬉しそうな顔、お店が繁盛してしまった時の困惑した顔など、くるくると変わる表情が面白く、クスッと笑ってしまいます。
構図が工夫された動きのあるイラストで、ダイナミックな印象をうけますが、実は芸が細かく、お店の内装やお客さん、小さく描かれた動物など、細かいところまで描き込まれていて、じっくり見るとたくさんの発見があります。
斬新なストーリーとテンポの良い文章で読み始めると物語の世界に一気に引き込まれます。読み聞かせにもピッタリなユーモア絵本です。
コメント