【絵本紹介】おなべおなべにえたかな?

3歳児おすすめ

福音館書店HPより表紙画像を引用しました。

おなべおなべにえたかな

作・絵 こいでやすこ

発行 1995年3月

出版 福音館書店

ページ数 32P

おすすめの年代 3歳〜小学校低学年

あらすじ

気持ちの良い春の日、きつねのきっこはたんぽぽを摘んで山向こうのおおばあちゃんのところへ行く途中でした。野原でイタチのちいとにいに会い、一緒に行くことになりました。

3人がおおばあちゃんのところに着くと、おおばあちゃんはスープを煮ていました。そこへ母さんカラスが子ガラスの喉に骨が刺さったから来て欲しいと呼びに来ました。おおばあちゃんは山のお医者さんなので、きっこにスープの番を頼み、カラスのうちへ走って行きました。

きっことちいとにいはお鍋に「おなべおなべにえたかな?」と聞きます。すると、お鍋は「にえたかどうだかたべてみよ」と答えます。お鍋の蓋を開けると綺麗な人参スープです。まだ少し固いので、塩と胡椒を入れてまた煮込みます。

しばらくしてまたお鍋に「おなべおなべにえたかな?」と聞きます。お鍋は「にえたかどうだかたべてみよ」と答えます。柔らかいけれど、何かが足りないので、バターをひと匙入れて煮込みます。

もうしばらくしてまたお鍋に「おなべおなべにえたかな?」と聞きます。するとお鍋は「にえたかどうだかたべてみよ」と答えます。味を見ると、甘くてとろけるよう。美味しくて、みんなで何杯も味見をしていたらお鍋は空っぽになってしまいました。

おおばあちゃんががっかりしてしまうと困っていたら、お鍋が、焦げ付くからお水を入れてほしい、と叫びました。みんなが急いで水を入れると、お鍋はざるの中のお豆も一緒に入れてほしいと言います。その後、お鍋が言う通りに塩胡椒を入れて煮込み、仕上げにたんぽぽを入れました。

おおばあちゃんが帰ってきて、お鍋に「おなべおなべにえたかな?」と聞くと、お鍋は「ちょうどいいにえごろ!」と答えました。おおばあちゃんは違うスープになっていて驚きましたが、春の味がするスープに大喜び。みんなで美味しくいただき、お鍋も喜びました。

おすすめポイント

お話の舞台はポカポカとした日差しが感じられる春の山。そんな中で美味しいスープをコトコト煮込むという、穏やかで幸せいっぱいの物語です。

このお話のお鍋には顔がついていて、おしゃべりをします。「おなべおなべにえたかな?」「にえたかどうだかたべてみよ」のやり取りの繰り返しが楽しく、調味料を加えながらだんだんとスープが仕上がっていく過程はとてもワクワクします。人参スープの味見にモグラやネズミ、アリなど小さな動物がたくさん参加している様子も微笑ましく、その後みんながスープを作り直すお手伝いをきちんとしているところも可愛らしいです。

最後に出来あがった春のスープはどんな味がするのでしょう。お鍋からホカホカの湯気が上がり、良い匂いが絵本の中から漂ってきそうです。みんながニコニコ大満足でゴロンと横になる姿は幸せいっぱいで心もポカポカ温まります。冬の間に春を待ち遠しく思いながら読むも良し、春になってからきっこたちと一緒に春の訪れを喜びながら読むも良しの、季節感たっぷりの絵本です。

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