理論社HPより表紙画像を引用しました。
おめでとうかいぎ
作•絵 浜田桂子
発行 2020年7月
出版 理論社
ページ数 32P
おすすめの年代 5歳〜小学校低学年
あらすじ
今日はゆうきくんの卒園の日でした。いよいよ一年生ですが、一年生ってどんな感じなんだろう…と、ゆうきくんはお布団に入っても眠れずにいました。すると、どこからかゆうきくんを呼ぶ声がします。
お布団をはねのけると、通園バッグがそばにいました。そして、これから会議を開くので、ゆうきくんも特別ゲストとして出席してほしいと言うのです。ゆうきくんがポカンとしている間に、ゆうきくんをお祝いする「おめでとうかいぎ」が始まりました。
まず赤ちゃん用の小さな服がゆうきくんに抱きつきました。産まれてすぐに自分たちを着てくれた、大きな声で泣く元気な赤ちゃんだったと言います。次に哺乳瓶がミルクを飲んでくれて幸せだった、と出てきます。スプーンとフォークは、よく放り投げられたけれど、ゆうきくんの美味しいお顔を見るのが大好きだったと言いました。ゆうきくんは全然覚えていません。
靴が初めてのお散歩を振り返ります。トレーニングパンツは、お漏らしをたくさんしたけれど、そのうちトイレでできるようになってかっこよかったゆうきくんの話をします。傘と長靴も雨の日にしっかり歩いた時のことを話しました。やっぱりゆうきくんは全然覚えていません。
通園バッグは、朝にお家の人とお別れする時泣いていたゆうきくんが、今は泣いているお友達を励ますようになった、安心してゆうきくんとさようならができる、と言いました。ゆうきくんはさようならは嫌だと言いましたが、通園バッグはゆうきくんが大きくなっているからさようならができるのだ、ありがとうのさようならだよ、という話をします。
そしてそこへ、ランドセルを先頭にこれからゆうきくんがこんにちはをする学校で使うものたちが入ってきました。ランドセルは、みんなにこれからゆうきくんをしっかり応援するので任せて、と宣言します。みんなが嬉しくて踊っているとゆうきくんは眠くなってきて、そのまま眠ってしまいました。
おすすめポイント
卒園、入学を控えているお子さんにお薦めしたい絵本です。
赤ちゃんの頃から、ゆうきくんの成長に携わってきたものたちが集まって、順に思い出を語ります。「ぼくってすごいね。」「そうですとも!」そんな通園バッグたちとのやりとりを、子どもたちが自分と重ねて見てくれたら嬉しいですよね。親御さんにとっても、懐かしさが込み上げ胸が熱くなるストーリーです。
卒園にあたり、さようならを経験するであろう子どもたち。通園バッグの、大きくなっているからさようならができる、「ありがとうのさようなら」だという言葉が素敵で、そんな気持ちで別れの季節を迎えられたら素晴らしいなと感じます。
そして、これから新たにゆうきくんを応援してくれるランドセルを始めとする小学校のグッズたちが登場します。こんなふうに、自分の持ち物がそばで応援してくれていると思えたら心強いですね。
新たな世界に足を踏み入れる期待と不安が入り混じった子どもの気持ちを温かく受け止め、優しくエールを送ってくれるお話です。
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