【絵本紹介】スナックこども

小学校低学年おすすめ

理論社HPより表紙画像を引用しました。

スナックこども

作 令丈ヒロ子

絵 まつながもえ

発行 2024年4月

出版 理論社

ページ数 47P

おすすめの年代 小学校低学年〜小学校高学年

あらすじ

ゆのんはモヤモヤして眠れません。妹が牛乳をこぼしたのに、ゆのんのせいと決めつけてお母さんが怒ったのです。こんな時はあそこに行くしかない!ゆのんはベッドの下に潜り込みました。

白い一本道が現れ、その先には「スナックこども」と書かれた看板があります。中に入ると、こどもママとこどもマスターと子どものお客さんたちが迎えてくれました。このお店は子どもしか知らないし、子どもしか入れないお店で、お客さんも働いている人も子どもなのです。

ゆのんは「いつもの」をマスターに注文します。チェリーとアイスが10個ずつ乗っている、大きなクリームソーダです。周りのお客さんも「スナック菓子タワー型全種類盛り合わせ」や何十枚も重なっているホットケーキにメープルシロップをなみなみとかけたものなど、好きなものを食べています。そして、お母さんは私にはいっぱい食べちゃダメと言っているのに夜にこっそりアイスを食べている、とか、おじいちゃんはお酒は体に良くないと言いながらやめない、とか、大人の矛盾やよくわからないところを口々に言い合います。

ゆのんは今日の不満を歌に乗せて歌い上げ、みんなと一緒に踊ったり、大人の困ったところしりとりゲームで盛り上がったりしました。そしてみんなで夜空を見上げながら、自分はどんな大人になりたいか話し合います。

お店を閉める時間になり、それぞれが来た道から帰って行きました。このお店は「モヤモヤ・ムカムカ・イライラ回収装置」があって、それさえ貰えばお金はいりません。ゆのんは布団へ戻り、ぐっすり眠りました。

次の日、お母さんと妹はゆのんのせいにしてしまったことを謝りましたが、ゆのんはスッキリしているので全然気にしてないと答えます。ゆのんはまた行こう、と思うのでした。

おすすめポイント

大人っていいな、大人ってずるい、大人ってよくわからない…そんな子ども心に寄り添ったお話です。

理不尽に怒られる経験は、小学生くらいの子どもたちなら一度はあるはず。そんな時、好きなものを食べたり飲んだりしながら愚痴を言い合えるような場があれば最高ですよね。お店の造りはスナックなのだけれど、ほんのり駄菓子屋の香りも漂うレトロな雰囲気の可愛いお店、それがスナックこどもです。普段なら大人に禁止されてしまいそうな甘い物をモリモリ食べて、愚痴を言って歌って、好きなだけ踊って…。楽しそうな子どもたちの姿に、読んだらきっと行ってみたい!と思うはず。

やや長いので、絵本というよりは児童書に分類されるかもしれませんが、見応えのあるイラストで読み聞かせをしても楽しい一冊です。一度読んだらその世界観に魅了されて何度も読み返したくなる、ワクワクがたくさん詰まったお話です。

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