中央公論新社HPより表紙画像を引用しました。
もうじきたべられるぼく
作•絵 はせがわゆうじ
発行 2022年8月
出版 中央公論新社
ページ数 36P
おすすめの年代 小学校低学年〜大人
あらすじ
主人公はふっくらした牛。もう時期食べられるそうなので、最後に一目だけお母さんに会うために、電車に乗って牧場に行くことにしました。
小さい頃今の牧場にもらわれて来たけれど、大きくて優しかったお母さんのことはよく覚えています。電車に揺られながら主人公は考えます。太った牛の方が高く売れるので、毎日牧草をたくさん食べて太ってしまったけれど、一度でいいかからスリムになって草原を走り回ってみたかった。動物園のぞうやきりんみたいにみんなに愛されてみたかった。同じ動物なのに…。
主人公の生まれた牧場に着きました。遠くにお母さんを見つけます。お母さんは子牛と一緒に幸せそうにしていて、もう時期食べられる僕が現れたらお母さんが悲しむのでは…と考えます。悲しませたくないと思い、お母さんに声をかけずに電車に乗って帰ろうとした時です。走り始めた電車の中に主人公がいることに気付き、お母さん牛が走り出します。お母さん牛は走って電車を追いかけ、窓越しに二人は顔を合わせたのでした。
主人公は帰りながら、せめて、自分を食べた人が自分の命を大切にしてくれたらいいな、と思うのでした。
おすすめポイント
もう時期食べられる予定の牛が主人公というセンセーショナルな物語です。登場人物の表情に大きな変化がない為、彼らの感情の動きは読み手の受け取り方に委ねられています。
お母さんに会いに来たものの、悲しませたくないという理由で声をかけるのをやめる優しい主人公。最後にお母さんと窓越しに顔を合わせることはできますが、その切ない後ろ姿に胸が痛みます。
自分の命を大切にしてほしい、生き物の命をいただいていることに感謝し食べ物を大切にしてほしい、という強いメッセージの込められた考えさせられるお話です。生死について深く考えることができる小学生以上のお子さんに推奨したい絵本です。
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