あかね書房HPより表紙画像を引用しました。
なんでもモッテルさん
作 竹下文子
絵 アヤ井アキコ
発行 2019年10月
出版 あかね書房
ページ数 32P
おすすめの年代 4歳〜小学校低学年
あらすじ
カッテル・モッテルさんはお金持ちです。何でも買って何でも持っています。丘の上のお屋敷には、世界中から買い集めた壺や彫刻、絵がずらり。時計も帽子もネクタイもたくさん、金庫の中にはお金がいっぱいです。車もいっぱい持っていますが汚れたり傷がついたりするのが嫌なので決して乗りません。
モッテルさんの奥さんのマーダさんも、たくさんのアクセサリーやお洋服、靴を持っています。
モッテルさんの子どものテルルちゃんとモット君もたくさんのおもちゃを集めています。甘いお菓子も欲しいと言えばいくらでも買ってもらえるので山ほどあります。
買っても買っても、どんどん物が欲しくなり、集めたものは部屋からどんどん溢れ出し、モッテルさん一家は片付けを押し付け合ったり、物を取り合ったりして、毎日喧嘩ばかりしていました。
そんなある日、嵐がやってきました。お屋敷で働いている人たちは避難しましたが、モッテルさん一家は留守の間に泥棒が入ることを恐れ、お屋敷の地下室にいました。嵐は屋根を吹き飛ばし、家中の物が飛んでいってしまいました。
嵐が過ぎて4人が地下室から出ると、壁と窓とドア以外何もありませんでした。心配して様子を見に来た村の人たちは、見舞いの食べ物を持ってきて、片付けを手伝ってくれました。村の人たちの手助けのおかげで、モッテルさんは新しい家を建てることができました。家族がやっと暮らせる小さな家ですが、4人は村の人と料理をしたり、一緒に遊んだりして、前よりもずっと楽しそうです。たくさんのものを無くしたけれど、お金では買えないとても大切なものを手に入れることができたのです。
おすすめポイント
登場するのは何でも買って何でも持ってる「カッテル・モッテル」さん。何とも語呂の良い、絶妙なネーミングセンスです。そしてイラストでもお金持ちだけれど満たされていない様子が分かりやすく描かれています。
嵐で全て失ってしまった後、モッテルさん一家の表情は明るくなり、みんなが幸せそう。本文には「お金では買えないとても大切なものを手に入れた」とだけ書かれていて、「大切なもの」とは何だろう?と考えさせてくれます。
物欲が満たされても、満たしきれない何かがある…このようなテーマを扱っている絵本は珍しいのではないでしょうか。自分にとって大切なものは何か、考えるきっかけを与えてくれる絵本です。
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