ひさかたチャイルドHPより表紙画像を引用しています。
はるじゃのばけつ
作•絵 白土あつこ
発行 2009年2月
出版 ひさかたチャイルド
ページ数 24P
おすすめの年代 3歳〜小学校低学年
あらすじ
たっくんはバケツに桜の花びらを集めています。すると、後ろからたぬきがバケツを覗き込んで、そのバケツにメダカを入れようよ、と提案します。たぬきはメダカがたくさんいるところを知っていると得意そうです。
メダカもいいなぁ…とたっくんは思いましたが、これは「はるじゃのばけつ」だからメダカはいらない、と答えます。「はるじゃのばけつ」が何か聞いても、秘密と言われてしまいます。
しばらくして、たぬきがカエルを持ってやって来ました。いっぱい捕まえてバケツに入れようよ、と提案します。
カエルもいいなぁ…とたっくんは思いましたが、やはり「はるじゃのばけつ」だからカエルはいらない、と答えます。たぬきはつまらなくなってカエルをこっそりバケツに入れました。
すると、カエルが飛び跳ねた拍子にバケツがひっくり返り、たっくんは怒って「さわっちゃだめ!」と怒鳴りました。その後黙々と花びらを拾い集め、ふと気がつくとたぬきの姿がありません。もう怒ってないから出ておいで、と声をかけても出てこないので、たっくんは諦めて帰りました。
家に帰ると、縁側にじいじが座っていました。風邪が良くなってきたというじいじに、たっくんはバケツを見せました。じいじは花びらをすくうと、「はるじゃ、はるじゃ」と言いました。すると後ろで「はるじゃ、はるじゃ」と声がします。振り返ると両手いっぱいに桜の花びらを握りしめたたぬきが立っていて、この花びらもバケツに入れて良いか尋ねます。
それから、たっくんとたぬきとじいじはみんなで「はるじゃ、はるじゃ」と花びらをまきました。
おすすめポイント
少し不思議なタイトルですが、お話を最後まで読むとそういうことか!と納得します。
メダカもカエルもいいけれど…たっくんは花びらにこだわります。お花見に行けないおじいちゃんのために一生懸命花びらを集める、優しく思いやりに溢れるたっくんの姿に心温まります。
一方で、好奇心旺盛なたぬき。たっくんの花びら集めをうっかり邪魔してしまい怒られてしまいますが、それでも何だか憎めません。最後に花びらをいっぱい持って現れたたぬきは、悪いことをしたなぁと思ったのかもしれませんね。
心優しいたっくん、ニコニコ嬉しそうなおじいちゃん、憎めない愛らしいたぬき、春の訪れを喜ぶみんなの穏やかで満たされた表情が素敵です。読後に幸せな余韻が残る、心温まる絵本です。
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