小峰書店HPより表紙画像をお借りしました。
なまえのないねこ
作 竹下文子
絵 町田尚子
発行 2019年4月
出版 小峰書店
ページ数 32P
おすすめの年代 3歳〜大人
あらすじ
主人公は野良猫で、名前がありません。
街の猫たちはみんな名前を持っています。「いいな。ぼくもなまえほしいな」と言う主人公にお寺の猫のじゅげむは「じぶんでつければいいじゃない。じぶんのすきななまえをさ。」と話します。
好きな名前を探して街を歩きますが、どれもピンときません。切ない気持ちで雨やどりをしていると、女の子に話しかけられます。「ねえ。おなかすいてるの?」「きみ、きれいなメロンいろのめをしているね」
そのとき、主人公は自分が欲しかったのは名前ではなく名前を呼んでくれる人だったことに気付きます。
主人公は「メロン」という名前を付けてもらい、女の子の家に一緒に帰っていきました。
おすすめポイント
リアルで繊細なイラストで、たくさんの猫が表情豊かに描かれています。街の風景が非常に細かく描き込まれていて、臨場感溢れる絵本です。
物語は主人公の猫の視点で語られ、前半は淡々と進んでいきますが、次第に野良猫として生きる主人公の寂しさや孤独感が浮き彫りになっていきます。
声をかけてくれた女の子をまっすぐ見つめ
「ほしかったのはなまえじゃないんだ。」「なまえをよんでくれるひとなんだ。」
と気が付く場面は、主人公が孤独から静かに解放されていく姿が美しく描かれており、心を揺さぶられます。
最後は女の子に体をすり寄せながら家へ向かって歩いて行く主人公の後ろ姿が描かれています。読んだ後に、深い安堵感と温かい余韻を残してくれる絵本です。
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