世界文化社HPより表紙画像をお借りしました。
はりねずみのおいしゃさんとおばけのこ
作 ふくざわゆみこ
発行 2021年3月
出版 世界文化社
ページ数 32P
おすすめの年代 3歳〜小学校低学年
あらすじ
はりねずみのお医者さんが森を歩いていると、おばけに会いました。お互いにびっくりして、おばけはすってんころりん。おばけかと思ってよく見ると白い布を被ったふわふわしっぽの誰かさんでした。
包帯を巻いてあげながらどうしておばけの格好をしているのか尋ねると、すごく恥ずかしがり屋で外に出る時は布の下に隠れているとのこと。おばけの子は枝を集めているところだったので、はりねずみ先生は家まで運ぶのをお手伝いしました。
おばけの子の家の中に入ると、家中に木のおもちゃがありました。森で拾った木の枝で作ったものでしたが、誰も遊んでくれる子がいないのだそうです。お店を開くのも恥ずかしいというおばけの子に、はりねずみ先生は病院に置くことを提案します。
その後、はりねずみ先生は患者さんに合わせて、お薬と一緒におばけの子が作ったおもちゃを渡すことにしました。
何日か経って、はりねずみ先生にもらったおもちゃが壊れてしまったと、元気になったはむちゃんが病院を訪ねてきました。はりねずみ先生はおばけの子の家に行って、おもちゃを直してもらえないか頼みます。おばけの子は壊れたおもちゃを見て、たくさん遊んでくれたんだと大喜び。おもちゃを直し始めると夢中になって、被っていた布をばさりと取ってしまいます。その正体は、ふわふわしっぽのぎんぎつねさんでした。
その日から、ぎんぎつねさんは、はりねずみ先生の前だけでは顔を見せてくれるようになりました。その後、はりねずみ先生とぎんぎつねさんはこっそり森の広場を見に行きました。怪我や病気が治った後も、木のおもちゃで森のみんなは楽しんでいました。「みんなのけがやびょうきがなおってうれしいな」とぎんぎつねさんはニコニコしました。
おすすめポイント
はりねずみのおいしゃさんシリーズの第二弾です。細部まで丁寧に細かく描かれたイラストが素晴らしく、時間帯によって変化する森の景色もとても美しいです。登場する動物たちも愛らしく、絵を眺めるだけでも温かい気持ちになります。
今回は恥ずかしがり屋のぎんぎつねが登場しますが、はりねずみ先生は表に出ることを拒むぎんぎつねの意思を尊重し、自分にできる方法でおもちゃを広めるお手伝いをします。ありのままの姿を認め合い、仲間と協力して、各々の得意なことを生かしていくー一見ほっこりとした子ども向けのお話ですが、子どもたちがこれからの社会を生きていく上で必要なエッセンスが絵本の中に散りばめられています。
登場人物全員が優しさに溢れていて、読んだ後に優しさを分けてもらったような温かい気持ちが残る、見応えのある素敵な絵本です。
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