福音館書店HPより表紙画像をお借りしました。
めっきらもっきら どおんどん
作 長谷川摂子
絵 ふりやなな
発行 1985年8月
出版 福音館書店
ページ数 32P
おすすめの年代 3歳〜小学校低学年
あらすじ
かんたは遊ぶ友だちを探して神社までやって来ました。誰も見つからずしゃくだから、かんたは大声でめちゃくちゃな歌を歌います。
「ちんぷく まんぷく あっぺらこの きんぴらこ じょんがら ぴこたこ めっきらもっきら どおんどん」
すると風が吹き、風に乗って「こっちゃこい こっちゃこい」と声が聞こえます。木の根本の穴から声がしているようなので覗き込むと、穴に吸い込まれてかんたは落ちていきます。
着いたところは夜の山。そこへおばけの3人組が「一緒に遊ぼう!」と飛んできます。
かんたはふろしきを首に巻いてモモンガごっこをしたり、お宝交換をして不思議な水晶玉をもらったり、大きな縄跳びをしたり、空飛ぶ丸太に乗ったりして、3人組と遊びます。
たくさん遊んでお腹がすくと、おもちのなる木を見つけてみんなで食べました。お腹いっぱいになると3人のおばけたちは眠ってしまいます。かんたは1人で月を見ているうちに心細くなってきました。「おかあさーん」とかんたが言おうとすると、3人は飛び起きて大慌てで止めに入りますが、間に合いません。かんたは銀の光に吸い込まれていきます。
気が付くと、かんたは木の根本に立っていました。ちょうどそのとき「かんちゃーん、ごはんよー」というお母さんの声がしました。
それから何度神社に行っても、あの声は聞こえません。あの歌を歌えば3人に会えるかな、と思うけれど、かんたはあの歌を忘れてしまって思い出せないのでした。
おすすめポイント
不思議な世界へ迷い込み、へんてこなおばけと一緒に遊ぶという、子どもたちがワクワクドキドキするストーリーです。
かんたが歌うめちゃくちゃな歌は不思議な響きで、耳に残って真似したくなるような面白さがあり、お子さんと一緒に唱えるのも楽しそうです。
おばけとの遊びの内容はどれも子ども心を掴むものばかりで、こんなふうに遊べたら…と子どもたちの想像力を掻き立てます。また、ワクワクドキドキ楽しい冒険をした後に、お母さんのいる家に戻れるという安心感が、この物語の大きな魅力です。
最後は歌を忘れてしまって、もうあの世界に行くことはできません。かんたに教えてあげたいな、自分も歌ったら行けるかな、どんな世界なんだろう…読み終わった後も、いろいろな想像が膨らみ、楽しい余韻が残ります。
イラストは、個性的で憎めないお化けがかわいらしく、お化けの世界の楽しさを引き立てます。また、昼間の明るい田舎の風景、少し不気味で暗いお化けの世界、戻ってきた夕方の神社、それぞれ違う雰囲気の世界が丁寧に鮮やかに描かれていて、より物語を魅力的にしています。
長年読み継がれていることにも頷ける、子どもの好奇心や想像力を広げる不朽の名作です。
コメント