【絵本紹介】ぎんいろのねこ

3歳児おすすめ

金の星社HPより表紙画像をお借りしました。

ぎんいろのねこ

作 あまんきみこ

絵 えがしらみちこ

発行 2021年9月

出版 金の星社

ページ数 28P

おすすめの年代 3歳〜小学校低学年

あらすじ

主人公の女の子が友達と別れて公園から帰ってくると、玄関でママが逆さぼうきを片手に突っ立っていました。野良猫の「どぶしろ」にお頭付きの鯛を取られたのだそうです。

どぶしろは白猫ですが、その白が薄汚れているので女の子のうちではそう呼んでいます。どぶしろは頭が良く素早く、ごみいれのポリバケツはひっくり返して開けるし、冷蔵庫の中のハムもかすめ取ります。

晩御飯は干し魚になり、ママはどぶしろのことをパパに話して悔やんでいました。夜9時を過ぎて、女の子は公園に桃太郎の絵本を忘れてきたことに気が付きます。ママと一緒に絵本を取りに公園のそばに行くと、本を読む女の人の声が聞こえてきました。桃太郎のお話です。

それは優しい染み入るような良い声で、女の子とママは木の陰から公園の中を覗きます。すると、大きな白い猫が4匹の子猫に絵本を読んでやっているのです。子猫たちは白い猫にぴったりくっついて、月明かりで絵本をじっと見つめています。

女の子とママは手を握り合って顔を見合わせ、黙ったまま頷き合い、足音を立てないように気をつけて家に帰りました。

「あれはどぶしろよ。かたみみが、おれてたもん」

「どぶしろはおかあさんだったのね。4ひきにたべさせるのたいへんよねぇ」

「どぶしろがぎんいろにみえたわ」

翌朝、公園に行くとベンチに桃太郎の絵本がありました。その上に、すみれの花が一つ乗っていました。

ママは煮干しと牛乳を持って、台所から外へ出ていき、どぶしろの親子に差し出しました。

おすすめポイント

物語は主人公の女の子「あたし」の視点から書かれています。ママとあたしの会話のやり取りが心地よく、仲睦まじい親子の姿に心が温まります。

お話は、ママとあたしの会話や情景、行動が丁寧に書かれていますが、感情の描写はありません。ママやあたしがどのように感じていたか、読み手の想像力に委ねられているところが物語の大きな魅力の一つです。

イラストは水彩で描かれており、おぼろ月が浮かぶ住宅街の風景や、月明かりで絵本を読む親猫と子猫の情景、ママとあたしが見つめ合う表情、どれも深みがあり読み手の想像の世界を更に広げてくれます。

1984年に発行され、絶版となっていた絵本ですが、2021年にえがしらみちこさんの挿絵で復刊しました。読後に温かい余韻が残る絵本です。

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