福音館書店HPより表紙画像お借りしました。
こたつ
作 麻生知子
発行 2020年11月
出版 福音館書店
ページ数 32P
おすすめの年代 小学校低学年〜大人
あらすじ
こうたくん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、猫のクロの5人家族のお話です。全ページがこたつを上から見たアングルで描かれ、家族の会話が繰り広げられます。
大晦日の朝、こたつで4人で朝ごはん。こうたくんは「ぼく、きょうはよなかまでおきてるからね。」と意気込みます。
お母さんが買い物から帰ってくると、こたつの上でこんぶまきやねじりこんにゃくを作ります。お昼ご飯のカレーをお父さんが運んできます。
こたつ布団をはがし、掃除が始まります。新しいこたつ布団をかけると、こうたくんは遊びに来た友達とこたつ周りで遊びます。おばあちゃんがこたつで温めていた鯛焼きをおやつに食べた後、友達は帰っていきます。
宅急便で釧路の親戚から蟹が届きます。お礼の電話をした後は、晩御飯の年越し蕎麦です。
トランプをしたり、オセロをしたりして夜は更けていきます。11時になり、家族みんなで除夜の鐘をつきに出かけます。
翌朝、「あけましておめでとう」と挨拶をしてこうたくんはお年玉をもらいます。
お昼前に親戚のみんながやってきて、おせちや蟹を食べました。
親戚が帰ると、家族みんなでお茶を飲みながら年賀状の仕分けをします。
おすすめポイント
大晦日の朝から元日にかけての家族の様子を、こたつを上から見たアングルで描いた絵本です。特段オチがあるわけではなく、忙しない大晦日の様子やお正月をのんびり過ごす様子を淡々と記したお話ですが、家族のやりとりや、机に置かれたものの芸の細かさが非常に楽しく見応えがあります。
絵本の中の文章は、基本的に家族の誰かのセリフです。誰が話した内容かわかるように小さな顔のイラストの後で文章が書かれているので、読み聞かせをするよりも自分で読んだ方が誰との会話なのかがわかりやすい作りになっています。また、実際に家族や親戚とお正月を過ごす経験をしていた方が、よりお話の内容がピンときて楽しめる内容なので、小学生以降のお子さんにお薦めしたい絵本です。
家族や親戚と過ごす年越しの様子がリアルに描かれていて、子どもたちにとっては年末年始の特別なワクワク感を擬似体験できる点が魅力です。大人が読むと、そのリアルさゆえになんだかノスタルジックな気持ちになり、じんわり心が温まります。
定点観測で淡々とお話が進むにも関わらず、読後は不思議と温かい気持ちが残る、唯一無二の個性派絵本です。
コメント