KADOKAWA HPより表紙画像をお借りしました。
パンどろぼうVSにせパンどろぼう
作 柴田ケイコ
発行 2021年1月
出版 KADOKAWA
ページ数 32P
おすすめの年代 3歳〜小学校低学年
あらすじ
シリーズ第一作「パンどろぼう」で、泥棒をやめて、パン職人になったパンどろぼう。今日も「せかいいちおいしいパンや」に美味しいパンを並べます。
今日のおすすめはぶどうパン。目立つようにお店の前に並べます。朝からお客さんで賑わいますが、誰もぶどうパンを買っていきません。不思議に思いお店の前を見に行くと…ぶどうパンが一つ残らずなくなっていました。
泥棒の仕業に違いないと思ったパンどろぼうは、次の日に物陰からそっと見張ることにしました。うっかりウトウトした隙に、ロールパンがぶどうパンを抱えて逃げていきます。逃げ足の速いロールパンは、あっという間に木の穴に隠れてしまいました。
そこでパン泥棒は大きなぶどうパンを焼き、それをかぶってぶどうパンに変身しました。名付けておとり作戦。ロールパンが隠れた木の前で、「ごじゆうにどうぞ」と書かれた箱の中に入ってロールパンがやってくるのを待ちます。後ろから近づいてくる気配を感じ、振り返って捕まえようとしたその瞬間…
ガブリ。ロールパンに噛みつかれました。
「ギャ〜!!なにをするんだ!」
「ぶ、ぶどうパンがしゃべったぞ!なにものだ!」
お互いに被り物のパンを投げ捨てて正体を明かします。なんと、ロールパンの正体はりすでした。
りすが冬に備えて木の実を集めていた時、大好きなぶどうが入った美味しそうなパンを見つけてつい盗んでしまったのだそうです。
パンどろぼうは、パンは盗むより作った方が美味しいと知った自分の経験を話します。そして、りすくんをパン作りに誘います。
それから、りすくんは木の実やぶどうを集めました。パンどろぼうと一緒にぶどうをお日さまに干し、干しぶどうになったらパン生地に練り込みます。それを釜で焼いたら…干しぶどうがたっぷり入ったパンの完成です。他にもたくさん木の実のパンができあがりました。りすくん家族は大満足。
それから毎年、りすくん家族はたくさんの木の実をもりのパン屋へ届けてくれます。木の実やぶどうのたっぷり入ったパンは、パン屋の人気メニューになったのでした。
おすすめポイント
パンどろぼうシリーズ第二作です。
第一作で泥棒をやめてパン職人になったパンどろぼう。今回はロールパンを被った「にせパンどろぼう」と対峙します。こちらのにせパンどろぼうもなかなかの不気味な出立ちで、でも読んでいるとなんだかハマってしまい、どんどん可愛く見えてくるという、不思議な愛すべきキャラクターです。
正体がバレた後は素直に反省し、パンどろぼうを「アニキ」と慕う「にせパンどろぼう」こと、りすくん。親分、子分のような関係になったなんだか微笑ましい二人。パンが完成して食べている場面のパンどろぼうやりすくん家族の表情がとても嬉しそうでかわいらしく、見ているこちらも幸せな気持ちになります。
個性的なキャラクターと豊かな表情がコミカルで、笑える要素がたくさん詰め込まれている一方で、安定のほっこり幸せな結末。読後の満足感たっぷりの、ユーモア絵本です。
第一作「パンどろぼう」の紹介はこちら。
第三作「パンどろぼうとなぞのフランスパン」の紹介はこちら。
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