ひさかたチャイルドHPより表紙画像を引用しました。
どうぞのいす
作 香山美子
絵 柿本幸造
発行 1981年11月
出版 ひさかたチャイルド
ページ数 32P
おすすめの年代 2歳〜6歳
あらすじ
うさぎさんが小さな椅子を作りました。その椅子を木のそばに置き、横に「どうぞのいす」という立て札を立てました。
最初にやってきたのは、かごいっぱいのどんぐりを背負ったロバさんでした。ロバさんは疲れていたので、どうぞのいすを見て、なんて親切な椅子だろうと、椅子にかごを置いて木陰で一休みします。そしてそのまま、眠ってしまいました。
そこへくまさんがやってきました。どうぞならば遠慮なく、とくまさんはどんぐりを全部食べてしまいました。「からっぽにしてしまってはあとのひとにおきのどく」と代わりに蜂蜜の瓶を置いていきました。
次に来たのはきつねさん。どうぞならば遠慮なく、と蜂蜜をみんな舐めてしまいました。「からっぽにしてしまってはあとのひとにおきのどく」と代わりにパンを一本椅子の上に置いていきました。
今度は栗拾いをしていた10匹のりすさんがやってきました。どうぞならばいただこう、とみんなでパンをたべました。「からっぽにしてしまってはあとのひとにおきのどく」そう言って栗をかごに入れていきました。
そこでロバさんが目を覚まします。なんと、置いておいたかごの中身が、どんぐりから栗に変わっています。
どんぐりって栗の赤ちゃんだった?と不思議に思うロバさんでした。
おすすめポイント
うさぎさんが「どうぞ座ってください」のつもりで書いた「どうぞのいす」という立て札が、ロバさんがどんぐりを置いたことによって「どうぞお召し上がりください」の立て札と受け取られます。
この物語の素敵なポイントは、食べた後にどの動物も「あとのひとにおきのどく」と代わりに何かを置いていくところです。自分が満足して終わるのではなく、後から来るであろう見知らぬ誰かのことを思いやる。そしてそんな思いやりのバトンがどんどん繋がっていく、とても温かいお話です。
ずっと寝ていたロバさんは、目を覚ましたらどんぐりが栗になっていてびっくり!どんぐりって栗の赤ちゃんだった?というおとぼけな勘違いもかわいらしくてクスッと笑ってしまいます。
キャラクターの愛らしさはもちろん、色彩の変化で時間の経過が感じられる背景のイラストも見どころです。
長年たくさんの人に愛されてきた、思いやりに溢れた心温まる名作です。
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