アリス館HPより表紙画像をお借りしました。
「ぼくのおかあさん」2ねん1くみ すぎしたげんき
作 川之上英子・健
絵 大島妙子
発行 2024年4月
出版 アリス館
ページ数 32P
おすすめの年代 5歳〜小学校低学年
あらすじ
「きょうはじゅぎょうさんかんです。ぼくは、おかあさんについてのさくぶんをよみます。」
という一文から始まります。この絵本の文は最初から最後まで、すぎしたげんき君が作文に書いた文章で、それを授業参観中にみんなの前で読んでいるという設定です。
げんき君は読み上げます。
お母さんは美容室で働いていること、今日仕事が終わってから授業参観に来ること、作文を読んでいるところをお母さんに見せたいので、お母さんのすごいところをたくさん書いてゆっくり読もうと思っていること。
お母さんは家族の髪の毛を切ってくれること、美味しいご飯を作ってくれること、洗濯畳みが早いこと、テレビの推理ドラマで犯人を当てるのが得意なこと。
そそっかしいところも、怖い時もあることも、ユーモアを交えながら伝えます。
げんき君は作文を読み進めます。
「そしてまさにいま!がっこうについたにちがいありません。」「まだこないということは、いま、かいだんで、スリッパがぬげて、ちょっとじかんがかかっているんだとおもいます。」
そこへ、お母さんが教室へ入ってきます。
「まにあってよかった!おかあさん、きょうはきてくれてありがとう。」と作文を読み終え、お話は終わります。
おすすめポイント
お話の全文が男の子の作文の文章という斬新な絵本です。小学生の作文という設定なので、文章が非常に読みやすくわかりやすいです。
げんき君が語るお母さんの姿は、「完璧なお母さん」とは異なり、ちょっとそそっかしかったり、怒ると怖かったり、親しみが持てるエピソードがたくさんあります。そして、げんき君がそんなお母さんを誇りに思っていて、大好きだということが文章の端々から伝わってきて、とても温かい気持ちになります。
作文を読んでいる教室の場面、お母さんの職場の場面、家族と過ごす場面が、どれも色鮮やかな温かみのあるタッチで描かれていて、工夫された絵の構図も秀逸です。
完璧ではないけれどいつも一生懸命なお母さんと、素直で優しい男の子の絆を感じることができる、心温まる絵本です。
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