冨山房HPより表紙画像をお借りしました。
かいじゅうたちのいるところ
作 モーリス・センダック
訳 じんぐうてるお
発行 1975年12月
出版 冨山房
ページ数 40P
おすすめの年代 3歳〜小学校低学年
あらすじ
ある晩、マックスはオオカミのぬいぐるみを着て、いたずらを始めて大暴れ。お母さんに怒られ、マックスは夕ご飯抜きで寝室に放り込まれます。
すると、寝室に木が生え出して、もっと生えて天井が木の枝と葉っぱに隠れると、壁が消えて、あたりはすっかり森や野原。そこへ波が打ち寄せて、マックスの船を運んできました。マックスは船に乗り、航海を始めます。1年と1日航海すると、怪獣たちのいるところに到着しました。
マックスが陸地に船をつけると、怪獣たちはすごい声で吠え、歯をガチガチならして、目玉をギョロギョロさせて、すごい爪を剥き出しました。マックスは、「しずかにしろ!」と怒鳴りつけて、怪獣鳴らしの魔法を使いました。マックスは怪獣たちの王様になり、怪獣たちと一緒に怪獣踊りをします。
マックスは「もうたくさんだ。やめえ!」と叫び、夕ご飯抜きで怪獣たちを眠らせました。すると、マックスは急に寂しくなって、お母さんのところへ帰りたくなります。マックスは怪獣たちの王様を辞めることにしました。
怪獣たちは泣いて「たべてやるからいかないで」と言い、すごい声で吠え、歯をガチガチ鳴らして、目玉をギョロギョロさせて、すごい爪を剥き出しました。マックスはさっさと船に乗り込んで、さよならと手を振りました。
1年と1日航海すると、いつの間にやらお母さんに放り込まれた自分の寝室。まだほかほかと温かい夕ご飯が置いてありました。
おすすめポイント
本書は、コルデコット賞(アメリカの児童図書館協会が、アメリカで前年に出版された最も優れた子ども向け絵本に毎年授与している賞)を受賞している、長年世界中で愛されてきた絵本です。
主人公のマックスは気の強い男の子。お母さんへの口答えも一丁前、不気味な怪獣を目の前にしてもひるまず、怪獣たちの王様になってしまいます。怪獣たちの王様なんて、かっこよくて、楽しそうで、ワクワクします。でも、本当に怪獣たちに食べられたりしないのかな…?読者に一抹の不安を感じさせるこのドキドキ感が、子どもたちの心を惹きつけます。
王様になったものの、急に寂しくなってお母さんの元へ帰りたくなるマックスの姿に、常日頃、冒険心と安心感の間で揺れ動く子どもたちは共感を覚えるのではないでしょうか。「たべてやるからいかないで」と怪獣から怖いことを言われて、ドキドキの展開が続いた後、最後はほっと一安心。お母さんの愛情が感じられるところも魅力的です。
ドキドキワクワクする冒険がしたい、でも最後はちゃんと安心したい、子どもたちの気持ちに寄り添った、何度読んでも楽しい不朽の名作です。
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