【絵本紹介】もりのひなまつり

3歳児おすすめ

福音館書店HPより表紙画像を引用しました。

もりのひなまつり

作・絵 こいでやすこ

発行 1992年3月

出版 福音館書店

ページ数 32P

おすすめの年代 3歳〜小学校低学年

あらすじ

小さな森の近くの家の蔵にねずみばあさんが住んでいました。春も近いある朝、山鳩郵便屋さんが手紙を持ってきました。森ののねずみ子ども会から、雛祭りをしたいので、お雛様を森に連れてきてほしいというお願いの手紙でした。

ねずみばあさんはお雛様の箱を開けてお雛様と相談し、家の人が雛祭りの飾り付けをするまでに帰って来られるように出かけることにしました。そして、山鳩郵便屋さんにその旨を伝えてもらいました。

ねずみばあさんとお雛様は温かい日差しの中をゆるりと歩いていきます。すると、知らせを聞いたのねずみ子ども会の子ねずみたちが、乗り物を持って迎えにきてくれました。

森に着き広場で森の雛祭りが始まります。五人囃子が笛や太鼓を鳴らし、お囃子に合わせて三人官女が歌を歌い、お内裏様が踊りを踊りました。のねずみの子どもたちが元気に育つよう、森の動物たちが幸せに過ごせるよう、お雛様は祝いました。三人官女がみんなに甘酒を配った後は、みんなで手を繋ぎ、歌を歌い、踊りを踊って雛祭りを楽しみました。

夕方になり、雛祭りが終わりました。あたりは暗くなり、雪が舞い始めました。子ねずみたちはお雛様を乗り物に乗せ、ねずみばあさんの家を目指して急いで走ります。家に着いた時にはあたりは真っ暗。子ねずみたちがお礼を言って森へ帰っていった後、お雛様たちは自分たちがひどく汚れていることに気付きます。

ねずみばあさんは蔵の中から糸や針や布を持ってきて破れた衣を繕い、刷毛や筆、おしろいや絵の具でお雛様の汚れた顔や手を綺麗に塗り直しました。小さな櫛で乱れた髪を整え、衣を着せると、元通りの綺麗なお雛様になりました。そして、箱にお雛様をしまいました。

ねずみばあさんが次の日目を覚ますと、お雛様の箱がありません。座敷を覗いてみると、お雛様が飾ってありました。お雛様は、すまし顔で綺麗に飾られていました。

その日の夕方、山鳩郵便屋さんがのねずみ子ども会のお礼の手紙をどっさり運んできてくれました。

おすすめポイント

お内裏様とお雛様だけでなく、三人官女や五人囃子など7段飾りの全ての雛人形が丁寧に華やかに描かれています。のねずみ子ども会のお雛祭りの場面は参加者がたくさんいますが、細部までしっかり描き込まれていて、みんなが幸せそうな表情で賑やかに楽しんでいる雰囲気が伝わります。すっかり楽しんでうたた寝をしてしまうお雛様もなんだか愛らしく、クスッと笑ってしまいます。

後半は天気も荒れ模様であたりも暗くなり、前半の華やかな様子とは打って変わって不穏な空気が流れます。ひどく汚れてしまったお雛様たちは、捨てられてしまうのだろうか…とドキドキしますが、ねずみばあさんが手際よく見事に綺麗にしていきます。おしゃれやメイクに興味があるお子さんにとってはとても楽しい場面ではないでしょうか。

最後は無事に持ち主の家で飾られたお雛様。丁寧に描き込まれた7段飾りが美しく見応えがあります。こんなふうにお雛様が動いて、一緒に雛祭りをしてくれたら素敵ですよね。子どもたちの想像を掻き立てる、ファンタジックで心温まる絵本です。

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