世界文化社HPより表紙画像を引用しました。
おひなさまのいえ
作 ねぎしれいこ
絵 吉田朋子
発行 2013年2月
出版 世界文化社
ページ数 24P
おすすめの年代 3歳〜小学校低学年
あらすじ
町に雛人形のお店がありました。売れ残ったお雛様たちは、自分たちを飾ってくれるうちを探そうと、朝早くお店が開く前にみんなで荷物を持って出発しました。
最初に見つけた家にはこけしがたくさんいて、ここはいっぱいだから一緒には住めないと言われてしまします。別の家に行くと、襖から五月人形が出てきて、ここは僕のうちだから、と断られてしまいます。
家が見つからずとぼとぼ歩いていると、川を流し雛が流れていきました。流し雛に誘われ、一緒に藁の船に乗って川下りをすることにしたお雛様たち。五人囃子の笛や太鼓に合わせて、三人官女が静かに踊りました。流し雛に別れを告げて岸に上がると、小さな家を見つけました。そこは誰もいないボロボロの家でした。
みんなで壊れているところを直して、掃除をして、家の中はすっかり綺麗になりました。掃除をしてみんな真っ黒になってしまったので、お雛様たちはお風呂に入って着物を着替えました。ぼんぼりに明かりをつけると、野原のネズミやリスたちがやってきました。みんなで白酒を飲んで、ご馳走を食べ、笛や太鼓に合わせて歌ったり踊ったり、楽しい雛祭りになりました。
それから、お雛様たちは雛壇に並びました。そして、ここでみんなでずっと仲良く暮らすことにしました。
おすすめポイント
売れ残った雛人形たちが、自分たちを飾ってくれる家を探しに旅に出るという、斬新なお話です。誰も買わないのなら自分の足で探しに行く!素晴らしいバイタリティですよね。家探しは難航しますが、そんな中でも流し雛と一緒に川下りを楽しむ前向きさも素敵です。流し雛が何かということも物語の中でわかりやすく説明されています。
雛人形たちは、どこかの家にお世話になるのではなく、古い空き家を自分たちで綺麗にして住むことにしました。大変そうに思える家の修理や掃除もみんなで協力して楽しんでいて、とにかく逞しいお雛様。けれど、イラストはとても可愛くてほんわかしています。コラージュで立体感があり、可愛いだけでなくとても華やかです。
自分たちの未来をみんなで協力して切り拓いていくお雛様たちに勇気をもらえる、一味違う発想の雛祭り絵本です。
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