PHP研究所HPより表紙画像をお借りしました。
ふくろをかえたいおせんべいくん
作 ホソカワレイコ
発行 2024年4月
出版 PHP研究所
ページ数 26P
おすすめの年代 4歳〜小学校低学年
あらすじ
お菓子工場で、目を開けたおせんべいくん。自分は透明の袋に入れられましたが、他のお菓子がカラフルで可愛い袋や箱に入れられているのを見てしまいます。透明で可愛くない袋はつまらない、僕にはもっと似合う袋があるはずだ!とおせんべいくんは工場を抜け出し、町にやってきました。
スーパーマーケットを見つけたので中に入ってみると、お菓子売り場にはカラフルな袋や可愛い箱のお菓子がいっぱいです。おせんべいくんは、「ぼくににあうふくろやはこがあるかな?」と色々なお菓子の入れ物に入った自分を想像してみます。でも、ぴったりなものは見つかりません。それからもスーパーの中を歩いて、ぴったりな袋や箱がないか探して想像してみました。卵のパックにヨーグルト、豆腐のパックなど…「なかなかいいぞ!ぼくににあいそうなふくろやはこは、もっともっとあるかも!」
次におせんべいくんは、洋菓子屋さんに入りました。可愛くてキラキラした袋や箱を自分が着てみたら…と想像しワクワクするおせんべいくん。そして模様のあるクッキーを見て、海苔の形を変えたらどうなるかも想像してみます。
するとマドレーヌさんとチョコレートさんが、どちらが素敵な包装かで喧嘩をする声が聞こえました。おせんべいくんが喧嘩を止めに入ると、「おせんべいさんあなたスケスケじゃない!」「そんなにまるみえでだいじょうぶ?くろいパンツがみえてるわよ!」と言われ、「ふくろもかわいくないし、スケスケなのもはずかしくなってきた。もう、さいあくだ…」と落ち込みます。そこへビスケットおじさんがやってきて、透明の袋は町ではおしゃれで大人気らしい、しかも透明だから中身が美味しそうに見える、とフォローしてくれました。それを聞いたマドレーヌさんとチョコレートさんはおせんべいくんの袋を褒めてくれ、おせんべいくんは自分の袋がとても素敵に思えてきました。
おせんべいくんは工場へ戻り、トラックに積まれ、コンビニのお菓子売り場に置かれました。おせんべいくんは自信満々です。「ねえみてみて、ぼくおいしそうでしょ!?えっへん!」
おすすめポイント
透明な袋のおせんべいくんが、自分に似合う包装を探す旅に出るお話です。カラフルで細かいところまで丁寧に描かれたイラストは、眺めているだけでも楽しくなります。特に、おせんべいくんが他のお菓子や食品の入れ物に入ったら…と想像する場面はひとつひとつがかわいくて面白く、見応えがあります。
こうしたら素敵になれるかも…!と一生懸命考えるおせんべいくんは、健気でかわいらしく応援したくなります。透明な袋を「スケスケ」と表現されたらしょんぼりし、「おしゃれで、中身が美味しそうに見える」と言われたらなんだか素敵に思える、素直な性格も愛らしく好感が持てます。
自分も周りのように素敵になりたい…そう考えることは、誰しも一度はあるのではないでしょうか。でも自分が気付いていないだけで、ありのままの自分に素敵なところがたくさんあり、自分では取るに足らないと思っていることもとても魅力的だったりする、そんな気付きを与えてくれるお話です。
ラストの「ぼくおいしそうでしょ えっへん!」と自信満々なおせんべいくんが微笑ましく、心が和みます。描き込まれた鮮やかでかわいいイラストが素晴らしく、何度も読み返したくなる絵本です。
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